
インプラント後の
メンテナンス
Implant maintenance
インプラントを快適に長く使用するためには、定期的な検診と患者様自身による毎日のメンテナンスが重要です。ただし、特別な手間は必要なく、天然歯と同様に正しい歯磨きとプラークコントロールを行うだけで十分です。歯ブラシに加え、デンタルフロスや歯間ブラシを使うことで、より良い口腔環境を保てます。インプラントも歯槽膿漏と同様に炎症や骨吸収を引き起こすことがあるため、予防が必要です。吉江歯科医院では、患者様に毎日のメンテナンスと定期的な検診(3~4ヶ月に1度)をお勧めしています。

インプラントは何もしなくても一生持つというのは誤解です
「インプラントは虫歯にならないから歯磨き不要」と誤解されることがあります。確かに人工歯は虫歯になりませんが、インプラントは歯周病に弱く、適切なメンテナンスが不可欠です。治療後も放置すれば、数年で破損する可能性があります。天然歯以上に歯周病予防に気を配り、毎日のセルフケアと歯科医院での定期メンテナンスを続けることで、インプラントを長持ちさせましょう。
インプラントを
長持ちさせるには?
毎日のメンテナンスでインプラントの寿命を伸ばしましょう

メンテナンスで
気をつけるべきポイント
Maintenance points
1.毎日の口腔ケアを徹底する
インプラントを長持ちさせるためには、治療後の口腔ケアが欠かせません。天然歯と同じく、インプラントにもプラークや歯石が付着すると歯周病のリスクが高まります。以下のポイントを意識してケアを行いましょう。
正しい歯磨き方法
柔らかめの歯ブラシを使い、インプラント周辺を優しく丁寧に磨くことが大切です。特に歯と歯茎の境目はプラークがたまりやすいため、この部分をしっかりと磨くよう心がけましょう。
フロスや歯間ブラシの使用方法
ブラッシングだけでは取りきれない歯と歯の間の汚れを除去するため、フロスやインターデンタルブラシの使用が推奨されます。
フロスや歯間ブラシの使用方法
ブラッシングだけでは取りきれない歯と歯の間の汚れを除去するため、フロスやインターデンタルブラシの使用が推奨されます。
2.定期的な歯科医院でのチェックアップ
インプラント治療後は、定期的に歯科医院でのメンテナンスを受けることが重要です。少なくとも半年に一度のチェックアップを受け、以下の点に留意しましょう。
インプラントの動揺確認
インプラントが骨としっかり結合しているか、またはグラついていないかを確認します。
歯周組織の健康状態のチェック
インプラント周囲の歯茎や骨の健康状態を確認し、歯周病の予防に努めます。
クリーニングの重要性
プロフェッショナルクリーニングにより、家庭でのケアでは取り除けないプラークや歯石を除去します。
3.食生活に気を付ける
インプラント治療後は、食生活にも注意が必要です。硬い食べ物や粘着性のある食べ物は、インプラントに過剰な負担をかけることがあるため、以下の点に気をつけてください。
硬い食品を避けることの重要性
ナッツ類、氷、硬いキャンディーなどは、インプラントやその周囲の構造に負担をかける恐れがあるため、避けることをお勧めします。
バランスの取れた食事をとることの重要性
栄養バランスの取れた食事を意識し、歯茎や骨の健康を保つことが大切です。
4.禁煙
喫煙はインプラントの成功率を低下させ、歯周病のリスクを高める原因となります。インプラント治療後は禁煙が強く推奨され、喫煙によってインプラント周囲の血流が悪化し、組織の回復が遅れるだけでなく、感染のリスクも増加します。
5.インプラント周囲炎に注意
インプラント周囲炎は、インプラント周囲の歯茎や骨が炎症を起こし、進行するとインプラントが抜け落ちることがあります。初期段階では症状がないことが多いため、定期的な検診で早期発見し、適切な治療を受けることが非常に重要です。
定期検診時のインプラント
周囲炎のチェック項目
- Check1
- 膿が溜まっていないか
- Check2
- レントゲン撮影で異常がないか
- Check3
- 血液検査に異常がないか
- Check4
- 心因性の痛みではないか
- Check5
- インプラントが正しい位置にあるか

インプラントの
日常的なお手入れ
Daily care
インプラントを長持ちさせるためには、毎日のセルフケアが重要です。特に、インプラント体とアバットメントが埋まっている歯茎部分を丁寧にお手入れすることが必要です。歯と歯茎の間の溝は歯垢が付きやすいため、ブラッシングをしっかり行い、歯間ブラシやデンタルフロスで小さな隙間の汚れも取り除きましょう。セラミックやジルコニア製の上部構造は汚れがつきにくいですが、油断せずに清潔を保つことが大切です。

デンタルフロスや歯間ブラシ、タフトブラシ(毛束が一つだけのヘッドが小さな歯ブラシ)を使って丁寧にケアを行いましょう。これらのケアグッズを使用する際は、強く力を入れすぎず、適切な力加減で扱うことが大切です。過度な力を加えると歯茎やインプラントに負担をかける可能性があるため、優しく使用しましょう。

インプラント治療に
ついての注意点
Treatment Notes
インプラントには、入れ歯のような違和感が少なく、自分の歯のようにしっかり噛めることや、ブリッジのように隣の健康な歯を削る必要がないといった利点があります。
しかし、インプラント治療には注意すべきリスクも存在します。治療を受ける前に、これらのリスクについても十分に理解しておくことが大切です。
インプラント治療をお考えの方は、まず信頼できる相談先を見つけ、リスクを含めた十分な情報を集めることから始めましょう。
当院では経験豊富な医師が相談を受け付けておりますので、不安や疑問がありましたらお気軽にご相談ください。

インプラントのリスク・副作用など
炎症や感染症の可能性
インプラント手術で使用する器具は、適切に滅菌されたものを使用することが基本ですが、滅菌が不十分な歯科医院が存在する可能性も否定できません。過去には、歯科治療器具が滅菌されずに使い回され、報道された事例もあります。
また、インプラント治療後、歯茎や骨に細菌が侵入し、感染症や炎症を引き起こすことがあります。歯周病に似た「インプラント周囲炎」は、進行すると骨の減少など周囲組織に損傷を与え、せっかく入れたインプラントが抜けてしまう可能性があります。
骨としっかり結合しないリスク
まれにインプラントが骨と結合しないケースがありますが、その原因はさまざまです。手術前の計画不足や準備の不備、適切な診断が行われなかったこと、インプラントの位置の誤りなど、施術を行う医師側の問題が考えられます。
また、骨の質が十分でない場合や、強い咬み癖、遺伝的要因、喫煙、インプラント周囲の炎症、服用している薬の影響なども要因として挙げられます。
金属アレルギーを引き起こす可能性
インプラントはチタン製で、一般的に金属アレルギーを起こしにくい素材とされています。アレルギーを持つ方でも使用できることが多いですが、重度のアレルギーがある場合、完全に安全とは言い切れません。
金属を使用しないセラミック製インプラントも存在しますが、取り扱い医院が少なく、費用が高いといったデメリットがあります。
埋入する場所によって異なるインプラントのリスク
インプラントは埋入する部位によってリスクの程度が異なります。リスクの高い部位では、精密な検査やシミュレーションソフトを活用することで、危険を回避することができます。
[上顎]
上顎の骨は薄く、十分な厚みがないことがあります。そのため、増骨治療を行わないとインプラントが骨と結合しません。また、上顎の歯槽骨は、副鼻腔の中で最も大きな空洞である上顎洞と隣接しています。
万が一、上顎洞を穿通してしまうと、術後性上顎洞炎を引き起こし、鼻周辺の副鼻腔まで炎症が広がる可能性があります。
[下顎]
下顎には、血管や神経と隣接する「下顎管」が存在します。下顎管が損傷すると、神経麻痺が生じる可能性や、周囲の出血が止まりにくくなるリスクがあります。
[前歯]
前歯は骨が薄いケースが比較的多く、インプラントが露出してしまう可能性があります。
持病によるインプラントのリスク
インプラント治療には、歯槽膿漏や糖尿病などの疾患がリスク要因となることがあります。歯槽膿漏の患者様は治療前にしっかりと歯周病治療を受け、専門医のもとで治療を開始する必要があります。術後は、口腔内の清潔を保つためのセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアが重要です。また、全身疾患のある患者様は、歯科医師とかかりつけ医との連携が必須で、全身の健康状態を考慮しながらインプラント治療を進めることが求められます。