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根管治療

root canal treatment

根管治療とは

About root canal treatment

根管治療は、細菌に感染した歯髄を取り除き、歯の痛みや不快な症状を軽減し、歯を保存する治療です。精密根管治療では、マイクロスコープ、歯科用CT、ラバーダム防湿、ニッケルチタンファイルなど高度な設備を使用し、精密に治療を行います。この方法により、治療の成功率が向上し、再発を防ぐことができます。治療後、歯の機能や形態を保ちながら、長期的に歯を保存できる可能性が高くなります。

院長から根管治療についてのメッセージ

より精密な根管治療をめざして

自分の歯で噛めることが患者さんにとって最善の治療であることは言うまでもありません。
むし歯が進んだ歯ややり直しの治療では根管治療が必要になることが多く、この根管治療の成否が歯の存続の決め手となります。
成功のためには精密な治療を行うことが必須であり、それには、診断の機器、高度な治療機材、先進の材料、そして十分な余裕のある治療時間が必要です。
高度な根管治療で歯の寿命を伸ばしたいとお考えの方と長時間の治療を一緒に頑張っていけるならば、それは歯科医として幸せなことと思っています。

根管治療の自費診療について
当院では保険診療による根管治療にも対応しておりますが、再発リスクの低減や精度の高い治療を重視し、自費診療での根管治療を推奨しております。自費診療では、より確実で丁寧な治療が可能になり、歯の寿命を延ばすことにつながります。

当院の根管治療

Treatment at our hospital

「マイクロスコープ」「高倍率ルーペ」の活用

「マイクロスコープ」や「高倍率ルーペ」は、歯科治療専用の拡大鏡で、患部を最大で十数倍に拡大して確認できます。感染部位が残ると細菌が再び繁殖し、炎症の再発を招く可能性があります。これらの拡大鏡を活用することで、細部までしっかりと目視しながら治療できるため、取り残しを防ぎ、治療の成功率を高めることができます。

丸型の画像は、マイクロスコープを用いて歯の内部を観察したものです。どれほど精密な治療が可能になるか、お分かりいただけるかと思います。

根管治療でマイクロスコープを使用するメリット

当院では、より精密な治療を実現するために、症例に応じた適切な機器を使用し、治療の精度を高める工夫を行っています。
その一環として、根管治療では歯科用マイクロスコープを積極的に活用しています。
歯科用マイクロスコープを用いた根管治療のメリットは、以下の4点です。

merit1

精度の高い治療が可能に

― 歯面を拡大し、勘や経験に頼らない診断と治療

先述のとおり、従来の歯科治療は勘や経験に頼る部分が大きく、原因の特定が難しいケースでは、本来残せるはずの歯まで治療せざるを得ないこともありました。
しかし、歯科用マイクロスコープを活用することで、肉眼よりも鮮明に歯面を確認できるため、より精密な治療が可能になります。その結果、患者様の大切な歯をできる限り残し、寿命を延ばせる可能性が高まりました。

merit2

治療の選択肢が広がる

― より多くの可能性を提供

従来の治療方法では、原因の特定が勘や経験に依存していたため、正確に把握できないことがありました。しかし、歯科用マイクロスコープを活用することで、以前は確認できなかった部分も明確に見えるようになり、治療の選択肢が増え、患者様に最適な治療を提供できる可能性が高まりました。

merit3

繰り返し治療の軽減

― より確実な治療で再治療のリスクを減少

肉眼では発見できなかった虫歯も、歯科用マイクロスコープを活用することで見落とすリスクが減り、無駄な治療を大幅に減少させることができます。これにより、繰り返し治療する必要も軽減されます。さらに、歯科用マイクロスコープを使用することで細部まで鮮明に確認できるため、治療の精度を維持しながら、短時間での治療提供が可能となりました。

merit4

余計な歯を削らず、痛みが少なく治りも早い

― 精密な治療で負担軽減

従来の治療方法では、原因の特定が勘や経験に依存していたため、正確に把握できないことがありました。しかし、歯科用マイクロスコープを活用することで、以前は確認できなかった部分も明確に見えるようになり、治療の選択肢が増え、患者様に最適な治療を提供できる可能性が高まりました。

「CT」による検査・診断

「CT」は、レントゲンと同様にX線を用いて歯や骨を撮影する装置です。
大きな違いは、お口の周囲を360度回転しながら撮影できる点にあります。レントゲン画像は2次元ですが、CTでは立体的に映し出せるため、より詳細な情報を得ることができます。さらに、画像の鮮明さもCTのほうが圧倒的に優れています。

次の画像をご覧ください。CT(左)とレントゲン(右)で同じ患部を撮影した比較画像です。

左の写真には黒い影が映っていますが、右の写真では確認できません。
この黒い影は炎症が起きている部分を示しています。つまり、レントゲン画像だけで診断していた場合、この炎症を見落としてしまう可能性があります。そのまま気づかずに進行すると、最終的に抜歯が避けられなくなることも考えられます。
当院では、こうした見逃しを防ぐためにCTを活用し、より精密な診断と治療を行っています。

その他の当院での根管治療に使用する機器

ラバーダム

ラバーダムとは、根管治療を行う際に、治療中の歯を他の歯から細菌が移らないように保護するためのゴムです。右記の写真のように、治療する歯のみがラバーダムから出るため、他の歯から細菌を移されるリスクを最大限に防ぐことができます。

「ラバーダム防湿」を活用する理由

根管治療の成功率を大きく向上させるためには、ラバーダムの使用が非常に重要です。実際、ラバーダムを使用した場合と使用しない場合では、成功率に40%以上の差が出るというデータがあります(ラバーダムを使用しない場合の成功率は50%以下です)。
ヨーロッパやアメリカでは、ラバーダムの使用が必須とされており、使用しない場合は歯科医師免許が剥奪される規則も存在します。一方で、日本ではラバーダムを使用している歯科医院は少なく、実際に使用しているのは1%ほどと言われています(使用していても自費診療でのみ使われることもあります)。当院では、患者様の負担軽減と虫歯の再発防止のために、ラバーダムを積極的に使用しております。

ニッケルチタンファイル

根管治療では、歯髄を除去するために「ファイル」と呼ばれる器具を使用します。ファイルには、一般的に使用されるステンレスファイルと、ニッケルチタンファイルの2種類があります。
ステンレスファイルは硬いため、曲がりくねった根管を掃除する際に深部に届かず、根管を傷つけてしまうことがあります。一方、ニッケルチタンファイルは超弾性を持ち、曲がった根管にしっかりとフィットし、精密に歯髄を除去することができます。これにより、根管を不必要に傷つけることなく治療が進められます。ただし、ニッケルチタンファイルは強度がやや弱いため、破折を避けるために施術者の熟練が必要です。

MTAセメント

根管治療の最後の仕上げに行うのが「根管充填」です。これは、歯髄を取り除いた根管内をしっかりと封鎖する処置で、隙間があれば数年後に再び細菌感染を引き起こすことがあります。
一般的な根管治療では、ガッタパーチャという酸化亜鉛を多く含むゴム状の樹脂で隙間を埋めますが、根管内に穿孔(穴)や根先端部の破壊がある場合、ガッタパーチャでは十分に治療ができません。その結果、感染が再発し、周囲の骨吸収や歯ぐきの腫れ、痛みを引き起こすことがあります。
その点、ガッタパーチャに比べて辺縁封鎖性に優れたMTAセメントは、このようなケースでも細菌の侵入を防ぐことができます。MTAセメントは生体親和性が良く、高い殺菌作用や歯の組織を再生させる作用(再石灰化促進作用)を持つため、治療後の経過が非常に良好です。

超音波治療器

マイクロスコープを使用した根管治療では、肉眼やルーペでの治療と比べて、根管の細部まで鮮明に見ることができます。そのため、根管内部の微細な汚染物を徹底的に除去したり、消毒薬をより効果的に活性化させるために、超音波治療器が非常に重要な役割を果たします。

可能な限り歯を抜くべきではない理由

Reasons for not extracting teeth

抜歯により人工物を入れるのではなく、できる限り天然の歯を残し使い続けることが根管治療です。
できる限り長くおいしく食事を採り健康を維持するためにも、可能な限り歯を残すことをお勧めします。

理由1

大前提として、
歯の「復活」は不可能

現在の医療技術では、抜けた歯を「復活」させることはできません。歯が失われた場合は、インプラント、入れ歯、ブリッジなどの人工物で対応することになります(歯が抜けたまま放置するのは避けるべきで、たった1本でも抜けるとさまざまな影響を及ぼします)。毛髪のように切ったり抜いたりしても再生できるものとは異なり、歯はできる限り残すことが重要です。

理由2

メンタル面への影響の可能性

歯を抜いた後、治療が完了したことで達成感を感じることもあるかもしれません。しかし、「歯を抜いている(二度と戻ってこない)」という事実は、今は感じにくいかもしれませんが、後々精神的な負担になることがあります。そのため、できる限り歯を残すことが非常に重要だと考えています。

理由3

人工物は天然の歯には敵わない

人間の歯は非常に高性能で、形状や硬さ、感覚の鋭さ、噛み心地、話しやすさなど、あらゆる面で優れています。これらの特徴を人工物で完全に再現することはできません。今後どれほど技術が進歩しても、天然の歯に勝るものはないと考えられます。

理由4

人工物を入れるタイミングを
遅らせることができる

「人工物(インプラントや入れ歯など)はずっと使える」と考える方もいるかもしれませんが、実際には徐々に劣化するため、いずれ交換や修理が必要になります。その際には、お金や時間がかかります。

根管治療が必要な主な症状

Symptoms that require root canal

抜髄(ばつずい)

歯の神経を抜くことを「抜髄(ばつずい)」と言い、重度の虫歯が原因で必要になる治療です。しかし、多くの患者さまは虫歯や根管治療の内容について正しく理解していないまま治療を受けています。根管治療は「抜髄」から始まり、これが正しく行われないと症状や感染が繰り返され、歯の寿命が縮まります。実際、根管治療の成功率が低いのは、抜髄が正しく行われていないことが原因です。当院では歯を残す治療を専門に行っており、他院で抜歯を勧められた方や治療後も痛みが続く方が多く来院されています。歯髄(しずい)とは、歯の神経部分で、神経線維と血管から成り立ち、歯に栄養や水分を供給し、健康を保つ役割を果たします。抜髄は、虫歯菌や知覚過敏などで歯髄に炎症が起こる「歯髄炎」を治療するために行われます。

抜髄が必要となる症状

  • ドクドクと脈を打つような激しい痛みが生じる
  • 症状のある歯に触れると、強い痛みで「ビクッ」とする
  • 運動後や入浴後、寝る前など、体温が上がると痛みが出る
  • 冷たい水や氷、アイスを口に含むと痛みが和らぐ
  • 頭痛や健康な歯にも痛みが出ることがあり、痛みの場所がその都度異なる
  • 市販薬で痛みが少し和らぐが、薬を常に手放せなくなる

感染根管治療

感染した歯髄を放置すると、やがて腐敗し、治療が遅れることで感染が広がり、さらに悪化します。最初は「歯髄炎」の痛みを感じますが、神経細胞が壊死すると突然痛みがなくなることがあります。しかし、これは治癒したわけではなく、感染は進行し続けます。腐敗が進むと、骨が溶け、膿がたまり、痛みと腫れが発生します。これが「根尖性歯周炎」と呼ばれる状態です。感染が広がると、歯根膜炎や歯根嚢胞などのさらに深刻な病変を引き起こし、最終的に歯を失うリスクが高まります。このような状況に対処するために行うのが「感染根管治療」です。適切な治療を早期に受けることで、歯を残す可能性が高くなります。

感染による症状は、慢性期と急性期に分かれます。慢性期は痛みがなく、症状を感じないことが多いですが、免疫力が低下すると痛みを感じることがあります。一方、急性期では激しい痛みが現れ、悪化します。

慢性期の症状

  • 歯の付け根に鈍痛や違和感
  • 歯肉の違和感
  • 食事中の違和感
  • 運動時に上の奥歯が痛む
  • 歯肉に穴ができ、膿が垂れる
  • 腫れが繰り返し現れる

急性期の症状

  • 寝付けないほどの痛み
  • 市販薬が効かない
  • 腫れが目に見える
  • 首や頬が腫れる
  • 食事が辛い
  • 微熱が出る

再根管治療

再根管治療とは、既に治療済みの歯に再度根管治療を行うことです。つまり、以前の治療で再発した場合に行います。当院では、歯を残すことを重視した精密根管治療を専門に行っており、他院での治療がうまくいかず、再度治療が必要となる患者さまが多く来院されています。

再治療が必要となる症例

  • 初めの根管治療後、数ヶ月~1年経っても違和感が改善されない
  • 同じ部分に同じような症状が再発した
  • 痛みはないものの、患部が腫れ、膿が出ている

歯内療法外科

根管治療は、歯根の内部にアプローチして清掃を行う治療法ですが、適切でないと判断される場合には「歯内療法外科」を行います。外科的治療であるため、歯肉を切開して治療します。
初めは根管治療を行い、それでも症状が改善しない場合にのみ、歯内療法外科を選択します。もし歯内療法外科を最初に行うと、歯根の先を切り取り膿を除去することができますが、根管内の感染は解決しないため、根本的な解決にはなりません。

歯内療法外科が必要となる症状

  • 歯根嚢胞(しこんのうほう)
  • 歯根肉芽腫(しこんにくげしゅ)
  • 石灰

根管治療の流れ

Treatment flow

1

検査・診断

まず、患者様の症状やお悩みを丁寧にお伺いし、レントゲンや歯科用CTを用いて歯や歯根の状態、感染の広がりを精密に確認します。これにより、感染範囲や根管の形状を正確に把握し、患者様一人ひとりに最適な治療計画を立てます。初期段階での正確な診断が、成功率の高い根管治療に繋がります。

2

感染部位の除去

マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用して、感染した歯髄や細菌、汚染物質を徹底的に除去します。肉眼では見えない細部まで確認しながら精密に処置することで、感染源の取り残しを防ぎ、治療の成功率を高めます。歯をできるだけ残すためにも、この工程は非常に重要です。

3

根管内の洗浄・消毒

感染物質を取り除いた後、超音波洗浄機や薬剤を使用して根管内部を徹底的に洗浄・消毒します。当院ではガス滅菌器を導入しており、治療に使用する器具も清潔に保たれています。再感染を防ぎ、根管内を無菌状態に近づけることで、治療後のトラブルを防止します。

4

根管の充填

洗浄・消毒が完了した根管内に、ガッタパーチャと呼ばれる専用の材料を隙間なく充填します。根管の形状に合わせて丁寧に詰めることで、細菌の再侵入を防ぎ、歯の内部をしっかりと封鎖します。この工程が適切に行われることで、治療後の安定性が向上します。

5

土台の形成・被せ物の装着

根管を封鎖した後は、歯の強度を補強するためにファイバーコアなどの土台を作成し、その上に被せ物(クラウン)を装着します。見た目の自然さはもちろん、噛み合わせや耐久性も考慮して設計します。これにより、歯の機能が回復し、長期的に安定した状態を維持できます。

6

定期的なメンテナンス

根管治療後も、定期的なメンテナンスが大切です。歯科医院での定期検診やプロフェッショナルケアを通じて、被せ物や歯ぐきの状態、再感染の有無を確認します。日常の歯磨きやフロスなどのセルフケアも併せて、治療後の健康な状態を維持しましょう。

044-877-3231