歯科治療に恐怖心があり思うような治療が受けられない方、嘔吐反射(治療器具を口に入れられると吐き気がする)の強い方、インプラント治療などの外科処置を受ける方が対象になります。
毎年60人前後の方がこの方法で治療を受けられています。
ご希望の方はご相談ください。

静脈内鎮静麻酔とは
About IVS
静脈内鎮静麻酔は、患者様の不安や緊張を和らげ、リラックスした状態で治療を受けていただくための方法です。薬剤を静脈から投与し、意識はありながらも深いリラックス状態に導きます。この方法は、特に歯科治療に対して強い不安を感じる方や、長時間の治療が必要な場合に効果的です。治療中の痛みを感じにくくし、治療後の回復も比較的早いため、安心して治療を受けることができます。


全身麻酔との違い
Difference from anesthesia
全身麻酔では意識が完全に失われ、意識が消失すると呼吸も自動的に停止することがあります。一方、静脈内鎮静麻酔では意識は失われませんが、リラックス状態に導かれ、自発的な呼吸は可能です。
[ 全身麻酔 ] | [ 静脈内鎮静麻酔 ] | |
意識 | なくなる | なくならない |
自発呼吸 | できない | できる |
回復時間 | 数時間 | 30分~1時間 |

治療の流れ
Treatment flow
1
問診票の記載
患者様の状態に合った術前処置を決定するため、過去の病歴や現在の健康状態をお伺いします。特に、降圧薬、抗不整脈薬、抗血栓薬、睡眠薬、ステロイドなどを服用されている場合は、詳細をお伺いすることがあります。これまで受けた手術や麻酔歴についても確認し、アレルギー(食物、薬、喘息など)の有無を確認します。これらの情報を基に、適切な治療計画を立て、安全に施術を行います。
2
処置当日
来院前のお食事は軽めにしてください。満腹の状態での来院は避けてください。
3
来院時
診察室のチェアにご案内後、血圧計や酸素モニターを装着します。場合によっては心電図や鼻から酸素の投与も行います。準備が整った後、点滴を取り、鎮静薬が点滴を通じて投与され、リラックスした状態になったところで処置を開始します。
4
治療終了
鎮静薬の影響で、治療後にふらつきやすくなることがあります。治療終了後、30分から2時間を目安に全身状態を確認し、問題がなければ帰宅していただきますが、当日はお車や自転車の運転は避けてください。帰宅後もその日はできるだけ安静にしてお過ごしください。

リスクや副作用について
Risks and side effectsn
静脈内鎮静法は安全性の高い方法ではありますが、この方法に精通した経験豊富な医師が適切に立ち会うことが重要です。治療中は、日本歯科麻酔学会認定の歯科麻酔認定医が患者様の状態を細かく監視し、緊急時にも迅速に対応できるよう、設備面でも十分な備えを整えています。
また、以下のようなリスクや副作用、合併症が生じる可能性がありますので、事前にご確認ください。
主なリスク・副作用
- 呼吸抑制:鎮静薬により呼吸が浅くなったり、回数が減少することがあります。
- 血圧や心拍の変動:一時的に血圧が低下したり、脈拍が変動することがあります。
- 意識の混濁・健忘:治療中の記憶があいまいになることがあります。
- 吐き気・嘔吐:体質や投与薬剤によっては、まれに吐き気を感じることがあります。
- 頭痛やふらつき:回復過程で頭痛や立ちくらみが起きることがあります。
- 点滴部位の腫れや痛み:点滴針を刺した部位に軽度の腫れや内出血を伴うことがあります。
安全対策について
当院では以下のような体制で安全管理を徹底しております。
- 鎮静中は血圧・心拍・呼吸・酸素飽和度を常にモニターし、安全性を確認しながら治療を進行します。
- 緊急時に対応できる医療設備およびスタッフ体制を整えております。